サラマンダー・イモリの繁殖方法(卵〜上陸直後の管理)
卵の管理について
サラマンダーやイモリの産卵が確認されたら捕食されることを防ぐために、定期的に産
卵された水草や苔ごと卵を採集し、事前に用意した別の飼育ケージに移します(卵〜水
生幼生のための飼育準備参照)。
- 温度管理・・・特に神経質になる必要はありません。屋外の日陰地等の場所で無加温で管理して下さい
。
- 日照管理・・・なるべく自然光が得られる場所で飼育する方が良いと思います。ただし、直射日光は、水温が高くなるため避けて下さい。
- 衛生管理・・・特に水換え等の必要はありませんが、定期的に死亡した卵やカビが生えた卵を除去して下さい。
飼育例 |
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トルコスジイモリの卵 | 卵の管理 |
孵化直後の水生幼生管理について
卵内に幼生が確認できたら孵化間近です。孵化したばかりの幼生は、水底で漂った状態でいす。この時期はとにかく何もしないでおくことが重要です。イモリ類の幼生は、基本的にサラマンダーやサンショウウオの幼生に比べて小さく虚弱ですので、孵化直後に移動等により刺激を与えるのは死亡につながるため避けて下さい。
- 飼育ケージ・・・卵を管理しているケージをそのまま使用します。
- 温度管理・日照管理
・・・卵と同様な環境で管理します。
- 衛生管理・・・特に水換え等の必要はありませんが、定期的に死亡した幼生を除去して下さい。濾過も幼生が吸い込まれる危険性が高いため行いません。エアレーションは、ケージが
小さい場合は行った方が良いと思います
- 餌の準備・・・孵化して2〜4日すると、水底で安定した状態を維持できるようになり、刺激に対して敏感に反応できるようになります。この様な状態になると給餌を始めますので、餌の準備をしておいて下さい。餌は、ブラインシュリンプやミジンコ等の生き餌を与えます。ブラインシュリンプを与える場合は、熱帯魚店等で卵を購入し孵化させます。ミジンコを与える場合は、自然性の高い公園の池や水田等で発生していますので、熱帯魚用の網
(細目)で採取し、ストックしておきます。
水生幼生の管理
- ケージ・・・孵化から4週間程度(全長2〜3cm程度)までは、孵化させたケージで飼育しますが、
徐々に個体差が出てきますので、生長度合いの同じものをグルーピングして分別飼育した方が共食いを回避できます。同一ケージで飼育する場合は、砂利を入れて多孔質環境を作るか水草等を入れて隠れ家を作ってやります。基本的に水生幼生は、動くものに敏感に反応して食いつきますので、共食いしないまでも外鰓をかじられて死亡することが有ります。
- 給餌・・・前記したように、孵化して2〜4日してから給餌を始めますが、最初はブラインシュリンプやミジンコ等の生き餌を毎日少しづつ与え、絶えず餌が水槽のなかで泳いでいる状態を維持します。全長が2cm程度になるとイトメやアカムシ等の生き餌も食べれるようになりますので、ブラインシュリンプやミジンコ等と合わせて与えて下さい。生長すると冷凍餌も食べますが、生き餌の方がよく食べるように思います。イトメやアカムシを与える時は、少数の幼生を飼育している場合は1匹づつにピンセットで与え、多数の幼生の場合はイトメの塊を解しながらバラバラになるようにして与えます。
- 水質管理・・・40cm程度の水槽でエアレーションを行って飼育している場合は、ほとんど水換えを行う必要はありません。汚れてきたら水換えを行う程度で大丈夫です。ただし、食べ残しの餌や死んだ幼生が等が有ればスポイド等で取り除いて下さい。20cm程度の小型プラケースで飼育している場合も基本的に同様ですが当然頻度は高くなります。水温は、水槽を屋外(バルコニーやテラス等)の日陰地に置いて無加温でいいです。
- 上陸に備えての準備・・・外鰓(えら)が小さくなってきたら上陸直前です。遅くとも1週間以内には上陸しますので上陸用ケージを準備します。また、水生幼生を飼育しているケージにも簡易な陸場を設置しておきます。上陸用ケージは、幼生が壁面を登って脱出しないように蓋付きのケージを準備します。一般的に20〜30cmの飼育用プラケースが便利です。
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小型プラケース |
上陸時の幼生の管理
外鰓(えら)が小さくなってきたら何時上陸してもおかしくない状態ですので上陸用の
ゲージに移します。
- ケージ・・・幼生が脱出しないような蓋付きのケージをものを準備します。一般的に20〜30cmの飼育用プラケースが便利です。陸場を1/2〜1/3程度、水場を1/2〜2/3程度とし、水深は、2〜3cmとします。
陸場は、平らな石や砂利(細目)等で作り、水苔等の保水性の高い床材を敷きます。コルク樹皮や植木鉢を割ったものでシェルターも設置して下さい。
- 湿度管理・・・毎日霧吹き等で加湿し、床材やシェルターが何時も湿っている状態を維持しますが、蒸らさないように気を付けて下さい。
- 給餌・・・イモリやサラマンダーの繁殖過程で一番大変なのが、上陸幼生の餌付けです。国産サンショウウオと違い、コオロギ(ピンヘッドサイズ)やワラジムシ等の動きの早い昆虫では、捕食できないためなかなか餌付きません。
*私は、イトメやショウジョウバエの幼虫(ウジ)等を幼生の顔の前に落として与えています。この給餌方法で餌付くとピンセットから餌を食べるようになります。魚肉でも餌付くようなので、皆さんの工夫で旨く餌付かせて下さい。
上陸直後は、餌を食べない種もいますのであせらないで餌付けて下さい。
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上陸環境(小型プラケース) |
上陸幼生の管理
- ケージ
・・・一般的に20〜30cmの飼育用プラケースやタッパーを加工して使用するのが便利です。床材は、赤玉土や水苔等の保水性の高い材料を用います。コルク樹皮や植木鉢を割ったものでシェルターも設置して下さい。
- 湿度管理・・・毎日霧吹き等で加湿し、床材やシェルターが何時も湿っている状態を維持しますが、蒸らさないように気を付けて下さい。
- 温度管理・・・成体の管理に準じます。
- 給餌・・・イトメやショウジョウバエの幼虫(ウジ)等の動きの鈍い餌を毎日少しづつ与えます。徐々にピンセットから餌を食べるように慣らして下さい。5cm位に生長すると、成体と同様な餌を与えても大丈夫です。
亜成体の管理
繁殖の成功おめでとうございます。ここまでくれば、亜成体の管理は基本的に成体の飼育管理と同じです。成体の飼育方法を参照して下さい。
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製作:佐久間delias@ss.iij4u.or.jp